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ご来院時の様子
20代会社員、建築現場で働く活発な男性がご来院されました。
先月から腰が痛くなり、整形外科を受診したところ腰椎分離症と診断され、飲み薬服用しながら、骨盤コルセットを使用して経過観察となったそうです。
しかし一向に腰痛は改善せず、むしろ痛みが少しずつ強まっている感じがするとのことでした。男性は、整形外科で撮影した腰のレントゲン写真のコピーを持参して下さっておりました。
ANALYSE
分析
腰椎分離症のポイント
腰椎分離症というのは誰しも一度は耳にしたことがあるものだと思います。多くは10代から20代に発症し、腰痛や酷い状態では下肢への痛みや痺れを伴うものもあります。腰椎分離症というのは広義な状態を示す名称であり、実際は大きく分けて3つの状態が存在します。
①腰椎分離症
・・・多くは第5腰椎に発生し、腰椎の椎弓板という部分に亀裂骨折を生じるものです。長時間腰を曲げていた状態から、急に起き上がるような動きで腰に反る力が急激に加わるとこの椎弓板が骨折してしまうことがあり、これを分離症といいます。
一般に分離症を発生した段階では無症状のことが多く、気づかれないケースもすくなくないようです。腰痛や下肢の痺れなどは稀だとされています。
②腰椎分離すべり症
・・・①の腰椎分離症と同時に、もしくはその後に分離した部分が離れていき、腰椎の前側にある椎体という部分が定位置よりも前方に移動してしまう、すべっていってしまうという状態です。この状態が深刻化すると、腰椎から出ている腰神経を圧迫する可能性が出てきますし、椎間板にも大きなストレスを強いることになります。しかし、脊髄もしくは脊柱管を圧迫するケースはかなり稀で、これは椎間板がすべりのストッパーとしての役割を果たしているからといえます。
③腰椎変性すべり症
・・・②の腰椎分離すべり症に加えて、椎間板の変性が伴い、脊髄や脊柱管を圧迫する可能性のあるものです。これは10代・20代では発症は極めて稀であり、高齢者で腰椎の変性が進行した際に出現する可能性のあるものです。
この患者さんは②の腰椎分離すべり症の疑いがあり、分離部分の骨折は改善できずとも、第5腰椎にかかる過大や負担を軽減させ、第5腰椎の前方に付着する筋肉の緊張感を解放することを施術の方針として考えました。
CHIROPRACTIC CARE
カイロプラクティック施術
第5腰椎の前方には大腰筋という筋肉が付着しており、前方に移動している分、やはり第5腰椎の前方から後方への関節運動が減少していました。
施術のポイントとしては、第5腰椎を前方から後方に少し圧迫しながら、大腰筋の緊張して捻れている線維をゆっくりと正す方向に誘導し、第5腰椎と大腰筋の強すぎる関係を緩和していきます
また、右足の内側に偏っている重心を膝・足首で調整しました。経過観察をしながら、週に1回のペースで4回の施術を重ね、腰痛は消失しました。
PROGRESS
経過
分離痕は存在しても、すべりの修正ができれば、痛みを改善することができる可能性があります
また、このようなケースでは自然に分離箇所が治癒するまでの期間として、およそ1年間は定期的に施術を受けながら、無理をせずに経過観察していく必要があると考えます。
全てのケースが適応となるわけではありませんが、病院への通院で改善しない場合には、我々がお力になれることがあります。